生き方|稲森和夫

人生の目的と、より良い生き方

稲盛和夫氏の『生き方』は、単なる成功哲学にとどまらず、人生の意味や生き方そのものを深く探求した一冊です。同氏は、京セラやKDDIの創業者として知られ、その成功体験と深い思索を基に、人間がいかに生きるかという普遍的な問いに対して、独自の答えを示しています。

人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

本書の核となるのは、**「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」**というシンプルな式です。この式が示唆するのは、どんなに能力が高く、熱意にあふれていても、間違った考え方、つまりネガティブな思考や自分中心の考え方は、結果を大きくマイナスに引き下げてしまうということです。

稲盛氏は、この考え方の重要性を繰り返し強調し、**「考え方」**こそが人生を左右する最も重要な要素であると説きます。具体的には、以下の3つの要素が「考え方」を構成すると述べています。

  • 哲学・倫理観・道徳律: 人生の指針となるような、普遍的な価値観を持つこと。
  • 物事を捉える視点: 常に前向きで建設的な視点を持つこと。
  • 自己中心的でない心: 周りの人々への感謝の気持ちを持ち、奉仕の精神を持つこと。

人格を高めることの重要性

稲盛氏は、成功とは単に富や名声を手に入れることではなく、人格を高めることだと考えます。人格を高めるためには、日々自己を反省し、より高邁な理想に向かって努力することが大切です。

具体的には、以下の6つの項目を心がけることが重要だと述べています。

  1. 誰にも負けない努力をする: 継続的な努力こそが、成功への唯一の道。
  2. 謙虚にして驕らない: 自慢せず、常に感謝の気持ちを忘れない。
  3. 反省ある日々を送る: 過去の過ちから学び、自己を改善する。
  4. 生きていることに感謝する: 生命の尊さを認識し、感謝の気持ちを持つ。
  5. 善行、利他行を積む: 周りの人々を思いやり、奉仕の精神を持つ。
  6. 感性的な悩みをしない: 感情に振り回されず、理性的に物事を判断する。

宇宙の意志と人間の使命

稲盛氏は、宇宙には万物を進化発展させる力が働いていると考え、人間もその一部であると説きます。人間は、この宇宙の意志に沿って、より高次の存在へと進化していく使命を担っているのです。

まとめ

『生き方』は、単なる成功論ではなく、より良い人生を送るための普遍的な指針を示す書物です。稲盛氏の深い思索と経験に基づいた言葉は、読者に深い感銘を与え、人生観を変えるきっかけとなるでしょう。

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