躁鬱大学:気分の波で悩んでいるのは、あなただけではありません – 坂口恭平

坂口恭平氏は、作家、建築家、画家、音楽家など、多彩な顔を持つ人物です。 彼は31歳で躁鬱病と診断され、気分の浮き沈みの激しさに苦しみました。 その経験を通して生まれたのが本書「躁鬱大学:気分の波で悩んでいるのは、あなただけではありません」です。躁鬱病と共に生きるための技術を、ユーモアを交えながら語っています。 また、「いのっちの電話」の相談員も務めるなど、メンタルヘルスの分野にも深く関わっています。

本書では、躁鬱病患者特有の気分の浮き沈みにどのように対処していくべきか、具体的な方法が提示されています。 著者は、躁鬱病を「治すべき病気」として捉えるのではなく、個人の特性として受け入れることの重要性を説いています。

躁状態と鬱状態への対処法

躁状態の過剰なエネルギーや、鬱状態のどうしようもない落ち込みと自己否定にどう向き合えばいいのか、著者は自身の経験を基に具体的な対処法を提示しています。

  • 周囲を疲れさせてしまうほどの躁状態のエネルギー: 躁状態では、アイデアが溢れ出し、行動力も高まりますが、その反面、周囲を巻き込み、疲れさせてしまうこともあります。 このような状態のときには、そのエネルギーを自分のために使い、新しいことを始めるのが良いとされています。 ただし、お金を使ったり、人を巻き込んだりせず、まずは一人で企画書を書くように、文字に起こしてアイデアを整理することが大切です。
  • 鬱状態の落ち込み: 鬱状態になると、気分が落ち込み、何事にも意欲が湧かなくなります。 自己否定に陥りやすく、周囲の声も耳に入らなくなってしまいます。 このような状態のときには、「心臓と肺だけがあなたを楽にする」という著者の言葉にもあるように、まずは呼吸に意識を集中し、心身の安定を図ることが重要です。 また、「居心地悪いなぁ」と感じたら、すぐにその場を立ち去る、 「今から作り話をします」と前置きして話をする など、具体的な対処法も紹介されています。

自分らしく生きるためのヒント

本書は、躁鬱病患者だけでなく、すべての人に向けて書かれた本と言えるでしょう。 著者は、「人からどう見られるか」ではなく、「自分が今なにをしたいか」を大切にすること、 孤独を保ちながらも、様々な人と適切な距離感で付き合うこと、 そして、自分らしく生きることを提案しています。

特に、「カンダバシ語録」との出会いは、著者にとって大きな転機となりました。 これは、著者が躁鬱病という枠組みから抜け出し、自分自身を躁鬱人として自覚するきっかけとなったものです。 そして、これまで症状だと思っていたものが、実は自分なりの対処法だったことに気づかせてくれました。

さらに、著者は躁鬱病を弱みではなく、強みとして捉えています。 躁鬱病であるがゆえに、精神的、気分的、行動的に大きな幅があり、 それを活かすことで「躁鬱超人」 になれると述べています。

読者からの feedback

本書のレビューでは、読みやすさと内容の良さで高く評価されています。 対処法や心構えが面白い視点で描かれており、実践してみたくなったという声や、 自分を受け入れることができたという声も寄せられています。

まとめ

「躁鬱大学」は、躁鬱病と共に生きる著者自身の経験に基づいた、具体的でユニークな対処法が満載の一冊です。 躁鬱病という特性を理解し、受け入れることで、新たな可能性が開けていくことを示唆しています。

本書は、躁鬱病で悩む人だけでなく、自分らしく生きたいと願うすべての人にとって、 貴重 なヒントを与えてくれるでしょう。 著者の率直な語り口とユーモアあふれる表現は、読者に勇気を与え、前向きな気持ちにさせてくれます。 そして、自分自身と向き合い、人生の意味を見出すためのヒントを与えてくれるでしょう。

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